『ヴィクトリア女王 最期の秘密(原題:Victoria and Abdul )』観てきました!
この2人が最強にキュートでほっこりで危うくて目が離せなかった…
以下若干のネタバレ含みます。
あらすじ
1887年、イギリス。
ヴィクトリア女王即位50周年式典での“記念硬貨”贈呈役に「背が高い」という理由で任命された青年アブドゥルは英領インドから女王の元へ向かう。
夫を亡くし長く孤独であった81歳の女王にまっすぐキラキラとした瞳で接するアブドゥル。
その姿に心を開いていくだったが、突如現れた「インド人」を王室が簡単に受け入れるわけはなく…
主演はジュディ・デンチ、アブドゥル役は『きっと、うまくいく』のアリ・ファザルです。
81歳の女王×インドの青年=良いもの
この映画、私的なご褒美ポイントがめちゃくちゃ多かった。
・ご老人×若者
・(とんでもない)身分差
・異文化交流
・プラトニック
・英国王室の装飾・衣装たち
夫を亡くし、その後親しくなった従僕(ジョン・ブラウン)も先に亡くし、おまけに常に監視・管理され尽くされた王室で孤独に生きていた女王と、真逆の姿をした異国の若者(ハンサム&ニコニコ)。ほっこり。無条件にほっこりです。
81歳、女王という立場にして(立場だからこそ)知らないことがまだまだ多くある。でもそれを知ることのできない・体感できない立場にいる。
そんな状況をいとも簡単に超えさせてくれる存在こそがアブドゥルで。
退屈の中に新鮮な刺激を求める女王の姿を観ているだけでニコニコしてしまうのでした。
コロコロ変わる女王の表情
何と言っても圧巻だったのが、ジュディ・デンチ演じるヴィクトリア女王の変貌ぶり。
まず式典での(とても上品と言えない)食事シーンで「ああこの人毎日つまんなそうだな(不敬)」という印象から徐々にアブドゥルに出会ってからの少女のような輝く瞳に若返っていく表情よ。
そこから更に一変して、彼がイスラム教徒だと知った後の自室での一気に老け込んでしまった姿。かと思えば王の間で見せつけられる女王たる圧倒的オーラ。
一人物が、同じ時間の中で演じているというのが信じられない位でした。
どちらが正しいと言えない絶妙さ
歴史物全てに共通することだとは思うのですが、 登場人物たちの善悪って一方向だけでは決して判断できないんですよね。そういう点でこの映画は全体的に絶妙な立ち位置で収まってるなと感じました。
今回なんて女王とアブドゥル方面から描いている以上「こんなに素敵な2人の関係を壊そうなんて王室は意地悪!」という方向に全振りすることだって簡単に出来るんですが、観ていても決してそうは思わなくて。
王室側の人間関係を出来る限りシンプルにして愛せるキャラクターとしてコミカルに仕上げたことが「絶対的敵役」にならない要員として大きいんじゃないかなと思います。
またアブドゥルの真意(つまり女王を騙し利用している云々)の部分も絶妙。
彼に対して観客がつい求めたくなってしまうような「ただ心優しくピュアなインド人青年」という百%の無害さは所々で揺らぐのですが、そうした揺らぎをハッキリと否定する存在は女王の気持ちだけで、アブドゥル本人の気持ちは多くは語られなくて。
出世欲があればそれは純粋と呼べないのかと言えばもちろん違います。
彼が女王を慕い、女王の為にと動いていたことは間違いなく真実であるだろうけれど、同じくインドから来たモハメドの拒否っぷりと対照的な姿に純粋さだけを押し付けて見ることはできないなと思うし、そこら辺は意図的にぼかされて描かれているように感じました。
2010年まで隠されていた「秘密」
何より一番衝撃を受けるのが、この2人の交流がマジのマジの最近までひたすらに隠され続けていたという事実…!
あのヴィクトリア女王ですよ、私の初恋の相手を親が知らないとかそういうレベルの話じゃないんですよ。1世紀近くの間、世界中が研究してきた歴史上の人物なんですよ。
そんな人物(とその周りを大きく巻き込んだ)大事件をひた隠しに出来てきたなんて。逆にイギリス王室の力を感じます(怖い)。
まとめ
2人の関係にほっこり、英国王室の装飾、衣装の数々にもうっとりと日々の喧騒から逃れ終始眼福を得られる作品でした。
今年のアカデミー賞ノミネート連発の『女王陛下のお気に入り』も気になりますが、こちらの女王陛下もきっと多くの人のお気に召すはず…!