2018年8月20日に配信スタートした星野源の新曲『アイデア』。
聴きました。
なんじゃこりゃ。
なんじゃこりゃあ!!
今回は配信で1曲のみとの事で、普段シングルの感想を書くよりも早く書けるかなと思っていたのだけれどこりゃ無理だよ星野源よ。
取り急ぎ、曲と公式HPの情報以外は何も知らない状態での感想です。
1曲まるまるアイデアの塊
衝撃の5分間
前述の通り、今回のシングルは配信シングルとなっており、配信開始が同時に初フル解禁という形。
朝ドラのOPで流れる1分以上の前情報が全くなく、全世界が0時の配信開始でその全貌を知るという形で。
私も他に違わず0時きっかりにDL、聴き始めたのですが…
もう「衝撃」という言葉しか浮かばなかった。
衝撃 #星野源のアイデア pic.twitter.com/OyB4C0iM9C
— にのうでプニ子 (@ninoude_punico) 2018年8月19日
脳内パニック状態。
朝ドラのOPが浮かぶ→??どうしたどうした→どうかしちまったのか???→????!→ふぅ…
ほんと、どうかしちゃったのかとおもった。
と同時にこんなことまでしていいの?という怒りのようなものさえ感じた。
この曲、1曲の中にシングル3・4曲が入っているようなカオス感。
朝ドラのOPで使われる1番が全てじゃなかったのです。
1番でもう慣れ親しんだメロディーを聴いていると、2番で急に楽器隊が消え一気に夜中になる、かと思えばダンスミュージックになって「!?追いつかない、追いつかないぞ」とパニクっているとまさかの弾き語りが始まり…
「おばあちゃん!朝ドラの曲ダウンロードしたから聞こう!」と孫が曲を再生してお茶の間が静まり返るんじゃないかというトリッキーさ。
何が「アイデア」だよアイデア詰め込みすぎなんだよこちとら追いつかないんじゃタダでさえブラックミュージックやらイエローミュージックやらマリンバやら細野晴臣やらニセ明やら普段から複雑なくせにこれ以上何やってくれてるんだこんな時なんて言えばいいのかわからないの私…ッ!!あああちくしょう!!ちくしょう!!!
…ふう。
まるで星野源の自分史
そもそも、初めて「半分、青い」のOPでこの曲を聞いた時、まず「朝ドラっぽくないな〜」という印象を受けた事を覚えています。
「アイデア」、朝ドラ特有のみんながすぐ歌える歌、というよりももっと聴いていたくなる歌という印象…楽器の音がバシバシ強く出ててびっくりした…!
— にのうでプニ子 (@ninoude_punico) 2018年4月2日
この先の朝に150回以上と聴く歌としてこれ以上ない新曲…なんか泣けてきた( i _ i )#半分青い #星野源
全世代が歌えるような親しみ重視の歌謡曲ではないし、独特の星野源節がバリバリ。
この時点で「この先どうなるんだろう」というドキドキ感があって。
今回、星野源自身はこの曲について、
「1番は<これまでの自分>、2番は<これからの星野源>」として構成していったと語っています。
SAKEROCK時代や弾き語り、そして今の自分とこれからの未来に向けたという作りは言うなれば「星野源総集編」、星野源の自分史。
そう思えば突然の弾き語りも違ったように聞こえるなと。
(だからと言ってすんなり聴けるとは限らないけど)
そして、そのあまりにも様々な面を見せつけてくるこの曲は、何だか演劇チックだなと思うのです。
まるで星野源の一人芝居を見ているような気持ちにすらなる。
あら、これ本当に朝ドラ主題歌でしたっけ?
前回の『ドラえもん』のリリース時に語っていた星野源の主題歌論は、
「依頼されたからにはしっかり作品に関係するものを作りたい」「自分の力だけではいけないところへ行けるのがタイアップ。主題歌をやるときは作品を咀嚼して、作品といま自分の中に流れてるもので合致したものでつくる」
というもの。
今回もそれに違わず『半分、青い』の世界観、主人公すずめの人生、強く生きる姿を写しているように思うし複雑ながらそれだけで成立する一曲になっているとも思う。
でもそれだけじゃない。
星野源自身のこれまで・今・これからをここまで入れ込み写した一曲なのだ。
それは「日々の生活」の中に小さなアイデアを見つけ出したり作り出したりすることで歯を食いしばりながら生きてきた自分自身とすずめの姿の重ねられる部分が多かったからこそなんだろうなと。
そんで2つの生き様を写す力強さ故に、同じように生活を続ける誰かにまた強く届く。
…強い。強すぎる。
1曲から溢れるオーラ的なものが強くて重すぎる。
これをマリンバやビートで軽快に乗らせちゃうって、星野源ってやつはほんとクレイジーだぜ。
星野源と配信シングル
この曲を語るに当たって外せないのが「配信」という点について。
本来、星野源はレコードを出したりスリーブをつけたり冊子やおまけをつけたりと「形」に並々ならぬ拘りを持っているアーティストでありました。
そして私もそういうところがとてもとても好きでした。
こと星野源の楽曲に関しては、CDという形として対価を払い、歌詞カードを見ながら初聴きをして、仕掛けに笑い、過去の作品とともに棚に並べる。
これが当然だと思っていたから、実際ダウンロードするまでピンときませんでした。
正直、やっぱり寂しい。
でも曲を聴きながら思うこと、発見もいくつかあって。
まず、前情報がないという事。
映像での歌い方も解説も感想も全く知らないまま聴くということって、
「星野源がこういっているからこうい聴き方が正解なんだ」
「歌詞はこういう意味なんだ」
というものが一切なく、聴く人が曲だけで判断できる時間を持てるということで…!
この時間は、私たち一人一人の想像や妄想を膨らませて曲のことで頭がいっぱいになる時間。
まさにアイデアの時間なんだと思うのです。
好きと思うか苦手と思うか。歌詞の意味をどう捉えるか。
本当の意味で純粋に自分の心だけで考える時間。
こんな時間をとったのは初めてかもしれないとドキドキするものがありました。
そしてもう一つは全世界が待機し・聴き始めるというロマン…!
世界には0時になる瞬間までドキドキと待つ人たちが沢山いて、その人たちがイヤホンをするでもオーディオの電源を入れるでも各々一番の方法で『アイデア』を楽しもうとしている…
なんかもう、夢みたいね…!
かつてレコードショップの小さな売り場に並んでいた星野源の歌をとんでもない数の人たちと同時に聞いているんだと思うと、近年の人気っぷりをしても改めて非常にワクワクするものがありました。
歌詞について
(当たり前なんだけど)全てが星野源だなあという印象。
「おはよう」から始まり、「夢」「湯気」「生活」「雨音」「続く日々の道の先を」「すべて超えて」…とある意味、どこを取っても星野源自身の過去曲のどこかで聞いた知ってる言葉で構成されているように見える。
そんな慣れ親しんだような言葉たちの中で、ハッとさせられるのはもちろん2番。
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生きてただ生きていて
踏まれ潰された花のように
にこやかに 中指を
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ビビるよね〜〜〜〜〜
ほんとお茶の間びっくりしちゃうよね〜〜
ファンとしては星野源のこういうワードチョイスには敏感になるものがあります。
それは順風満帆ではない彼のこれまでを知っているからに他ならず。
「にこやかに」「中指を」という組み合わせには『地獄でなぜ悪い』の「ここは楽しい地獄だ」的なネガポジな勢いを感じます。
2番が<これからの星野源>ということであるなら、その意味は何だろう。
大人計画で役者をしながら地道に音楽をやってきて出会った自分を笑ってきた大人たちへの中指なのか。現状・これからますます大きくなっていく自分への中指なのか。コンテンツとして好き勝手踏み荒らし楽しむ世の中への中指なのか。
何にしろこの先も思い通りにはやってやるかという圧と期待を抱かせてくれるなと。
まさか朝ドラ主題歌ともなる曲でこんな魂をぶち込んで来るとは思わなかった。けどこれがあるとないとでは全く違うものになってしまう。
うちな、歌詞を繰り返し咀嚼していくうちに、初めは「何じゃこりゃあ」と思った2番がないと生きていけない体になってもうたんよ。
もう一つ好きなのはここ。
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雨の中で君と歌おう
音が止まる日まで
つづく道の先を
塞ぐ影にアイデアを
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繰り返しサビの中で見える「音が止まる日までつづく道の先」の一節。
なんか最近の私は星野源の全ての曲を『Continues』にして語りがちなんですけど、「自分が生きて残すものが未来に繋がる」ということこそ今の星野源のテーマであると思うんですよね。
その想いが「音が止まる日まで」で一区切りせずにどああ〜〜〜〜と一息に続けることでより一層力強く届いてきた気がするんです。
個人的に源くんのこういう「けええええぇ〜〜」的な口を思いっきり開けた歌声が峰にズブズブ刺さってだいっすきなのもあり、それまでの「何だこのカオスな曲は〜〜!」という混乱を一気にまとめあげて「名曲」にしてくれた気がしましたw
ただ、特に最近何だか自分史的なものが目立つなと思いちょっとした大丈夫かなという気持ちもしたりしなかったり…
モノラルのメロディ
最後に、全く関係ないのかもしれないですがTwitterでこんなことを書きました。
ふと思い立って片耳ずつにイヤホン着けて聴いてみたんだけど、最後まで音が半減することなく聴こえる気がする…
— にのうでプニ子 (@ninoude_punico) 2018年8月19日
これすごない…?#星野源のアイデア #半分青い
もちろん『半分、青い』からの思いつきです。
ここまで多くの音を使い多くの工夫・遊びをした複雑なメロディを、左右どちらか片方で聞いても遜色なく聞こえる気がするのは、何だかすごいなあと思ったのでした(語彙力の低さ)
この曲ならばイヤホンを片耳づつでシェアしても片方だけが「ズンチャッズンズクチャッ」だけが聴こえる悲しいカップルも生まれないのだ。
まとめ
ここ数年の怒涛のタイアップ。
それを毎回、街頭で聞いてもしっかり彼の曲だと認識できるイズムを持ちながら、驚かせてくれる星野源はやっぱり怪物だなあと思います。
演劇、ドラマ、映画。
どんな媒体であっても好きな人の曲を新しい形で聴けることは幸せだなあと思うし、そんな思いをさせてくれる源くんには感謝しかない。
そんな感動も味わってきた私だけれど、今回の『アイデア』に関しては年末の紅白が待っていると思うと今から(正式にはタイアップの発表後からずっと)泣きそうです。
以上、(全然まとまってないんですけど)まずはだだーっと書きなぐってみました。
今後まだまだこの曲を聞いて浮かぶアイデアがあるんだと思う。
それを発見して、自分の生きるアイデアにできればいいな。
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