かなり乗り遅れた感ありますが、やっとこさ観てきました。
『ベイビードライバー』
エドガー・ライト監督最新作ということで公開前からじわじわ話題でしたね。
あらすじ
主人公“ベイビー”は犯罪組織の逃し屋として働きながら過去の借金を返済している。
幼少期の事故の後遺症である耳鳴りをかき消すために常にイヤホンで音楽を聞くベイビー。天才的なドライビングテクニックは音楽を聴くことでさらに覚醒し、組織にとってなくてはならない存在となっていた。
そんなある日ベイビーはデボラと出会い恋に落ちる。組織と縁を切り普通の生活を始める決意をするベイビー。しかし組織にデボラの存在を知られてしまい…
踊る!踊る!車が踊る!
「カーチェイス版ラ・ラ・ランド」「カーチェイスミュージカル」と評される通り、『ベイビー・ドライバー』 、全編音楽が鳴りっぱなし。
あらすじに前述の通り、主人公ベイビーは常にipodで音楽を流し続けるのですが、
それが見事に映像とシンクロし、シーンの熱を一層高めてくるのです。
カーアクション(車のエンジン音、ギア切り替え)、歩くテンポ、ドアの開け閉め、銃声、そしてもちろんセリフも全部ベイビー選曲の音楽に乗り、展開される。
このシンクロ具合と、映像のバシャバシャ切り替わる編集の感じとかがものすっごく小気味いいの…!
う〜ん、カッチョイ〜〜!!ヒュ〜〜!!
二時間飽きずに観入ってしまいました。
キャラ立ち半端ない主人公ベイビー
映画冒頭から圧倒されたのが、ベイビーのキャラ立ちがもの凄いってこと。
・天才的ドライバー
・後遺症の耳鳴りをかき消すために常にイヤホンで音楽を聴いている
・運転するときの音楽に並々ならぬこだわりを持っている
・無口
・人の会話を録音し自宅でミックスする
どうだね。
ネタバレないくらいにあげてみたけれど、中々のイケてる設定だろう。
漂う厨二的かっこよさよ。
特に運転中のBGMへの緊急時にもぶれることがないこだわりっぷりは観ていて気持ちがいいくらいで、こういう徹底したキャラが作品の軸を作っているんだろうなと。
「人の会話を録音し自宅でミックスする」とかいう共感性ゼロの趣味を持っていたり、一人の時にイヤホンつけたままリズムに乗っちゃうという皆やりたいけど大概恥ずかしいから日和っちゃう行為を堂々とこなしてくれる様なんかには、かなりのカリスマ性を感じてしまうのです。
さらに事故で両親を亡くしたベイビーは養父のジョー(耳が聞こえない&車椅子)と二人暮らしをしているのだけど、この養父との関係も猛烈にアツい&ズルイ…!
そのズルさといったら今絶賛CM中の『ボクのワンダフルライフ』の予告くらいズルイ…!
養父とのやりとりの中で、犯罪組織で働くベイビーの本心がはっきり映るのも上手いなあと思います。
恋人、デボラの犯罪的かわいさ
ベイビーの行きつけのダイナーで働く新人ウェイトレスのデボラ。
ありえんほど可愛い。
史上最強のウェイトレスになるために生まれてきたんかな?ってくらい制服が似合う。
何よりあの天使の笑顔。圧倒的コミュ力。
ベイビーに不審な目を一切向けず、無口ながらも頑張って話すベイビーの言葉を楽しそうに聞く姿。おまけにめちゃくちゃ据わった根性。
こんなん惚れないやつがいるのか?!
私は完全にハートを撃ち抜かれました。
リリー・ジェームズ、『シンデレラ』では実はそこまでビビッとこなかったんだけどなあ…はああ…///
ある意味ずっと「逃げる」ことばかりしてきたベイビー。
そんな彼が一歩踏み出すのはデボラと出会ってから。
デボラのかわいさはベイビーの行動に説得力を生み出すかわいさなのです。
その他組織メンバーたちも皆キャラ立ち野郎ばかりで、非常に愉快。
特にジェイミー・フォックス演じる「ヤベエやつ」と自称してるマン。良かった。
キャラが立つと作品としての魅力って俄然沸くなあと改めて思ったのでした。
スーサイドスクワッド、息してるか?
全編通してとにかく小気味いい!
観ていて気持ちいいなと思えるのは無駄のない点。
例えばキャラクターの行動。流れている曲の詩とシーン。ストーリー展開。
テンポよく場面が間延びすることもなく。
あっという間の二時間を体感できる映画でした。
直接自分の手を汚さない「逃し屋」であったベイビー。
イヤホン越しに人の言葉を聞き、サングラス越しに犯罪を見届け、猛烈なスピードで「逃げ」続ける彼が、デボラと出会うことで過去や現状とどう向き合っていくのか。
結構ウィーンキュイーンバンバンドンボカーン!!という考えるな感じろスタイルな映画ではある。
頭空っぽに楽しめるだけのエンターテインメント性に溢れてもいる。
エドガー・ライト作品を未だ『ホットファズ』しか観ていないので語るに足らないと思うのですが、『ホットファズ』がそうであったように後半「ええええ?!」という怒涛の勢い推しになる感じもある。
でも、細々とした監督のこだわりを感じるシーンシーンだったり、前述したようなキャラクターの一貫性が軸となっていることで所謂イェェェーイ映画として埋もれない唯一無二感を放っていました。
あー、いいもの観たなあー。
話題作とはいえ公開劇場が少なく、減っていく一方!
ちょっとでも気になる方は明日にでも予約して行ってきてほしい。
そんな映画です。