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『ゴーン・ガール』を鑑賞して目が死んだベン・アフレックを堪能しよう

ものすっごく久々にTSUTAYAに行ってきました。最近はNetflixとHuluばかり利用していてそこにあるラインナップから何となく選び何となく観て消費して…という感覚になっていたので店舗でパッケージを見比べながら選ぶ楽しさを思い出しました。ネットだとまあいつでも観れるしいいかと思って気合入れて観ないこともあるのに比べ延滞料の為に一生懸命観るし。

ということで借りてきた中の1つがゴーン・ガールです。

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簡単なあらすじ

ニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク)は誰もがうらやむ夫婦のはずだったが、結婚5周年の記念日に突然エイミーが行方をくらましてしまう。警察に嫌疑を掛けられ、日々続報を流すため取材を続けるメディアによって、ニックが話す幸せに満ちあふれた結婚生活にほころびが生じていく。うそをつき理解不能な行動を続けるニックに、次第に世間はエイミー殺害疑惑の目を向け……。(引用:シネマトゥデイより)

カップル・夫婦で観ない方がいい映画の代名詞として『ブルーバレンタイン』と並びよく見かけるこの作品。そんな前情報の時点で、ああ男女のいやな部分が出てるんだろうな、複雑なんだろうなと思っていましたが、「複雑」という言葉では片づけられない作品でした。いやぁびっくりしたー。まだ観ていない方はぜひネタバレせずに観てほしいです。

あらすじや予告でもでている部分ですが、ストーリー序盤、目が死んでる俳優ベン・アフレック演じるニックの不自然なほどの冷静さ、捜査状況を観て観客は「ああ、こいつが妻を殺したんだな。」と疑い出します。しかし妻殺しなんてテーマはありふれたもの。この作品の向かうところは「果たしてエイミーは無事なのか…?誰に殺されたのか…?」などというところではないんですよね。そんなところは通過点に過ぎない。148分と少し長めではありますが最後まで緊張感を持って観られる作品でした。スリラーと紹介されてるけどこんなんホラーやで。ちなみにR-15指定も納得のシーンがあるので、(何がとは言えませんが)苦手な方は一応覚悟して観てください。私は死にました。

 

 

以下ネタバレ感想です。

 

 

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 とにかく緊張感が は ん ぱ な い

・ドアの緊張感

終始何が起こるんだとドキドキしながら見ていましたが、特に印象に残ってるのがドアの存在。

ニックとエイミーそれぞれにあるシーンですが、外から物音がして恐る恐るドアを開け外を確認する…誰もいない…ドアを閉める…という絶対油断した途端なんかくる系の工程が分かりやすくめっちゃ怖かった!!しかも二重ドアっていう。一気に終わらせてくれYo!!!そして何も来ないのかyO!!

・デジ―の家の緊張感

あとはもはやこれに触れずに『ゴーン・ガール』を語れないといえる、デジ―の家での静かな閉塞感、そしてそこからの首ちょんぱのどっきり感。やられました。劇場大スクリーンで観てたら声でちゃうやつよこれ。

デジ―は…なんだったんだろう。確かに存在自体が不気味だし、あくまでエイミーにとって求めるものはニックだけでありデジ―はそもそも利用目的だけで連絡を取ったんだろうけれど、この状況ならもう素直にかくまってもらえればいいのにとか、もう少し穏便な方法はないものかと思ってしまいました。もはや同情するわ。

でも、ワイドショーでのニックの謝罪を観て目をキラキラさせるようなエイミーが、次の瞬間には冷静な計画魔になっていくのにはまた恐怖を感じました。この凡人のシナリオでは通用しない理解不能な思考こそがエイミーなんだなと…。 そしてエイミーの執着感が怖い。

 

ベン・アフレックとあご

「信用できないあご」ってパワーワードすぎて笑いました。BvsSでもバットマンマスクから覗かせていたあのあご。原作は分からないのですが、あごが割れてるからこそのキャスティングなのか。

 

アメリカにおけるメディアの大きさ

絵本「アメイジングエイミー」のせいもあり連日大々的に取り上げられるエイミー失踪事件。その立場は完璧なエイミーへの同情とニックへの敵意でいっぱい。

ストーリーがこういったメディア報道や世論の移り変わりと共に動いていくのも面白かったです。にしても相手がまだ容疑者の時点で容赦なく殺人犯呼ばわりするアメリカすごい。自由の国にもほどがあるぞ。

また、あまりにも繰り返されるアメイジングエイミー」という言葉がものすごく不気味だった。皆に愛される絶対間違いのないエイミー。絶対に疑いなんて向くわけないしその可能性を皆無視している感じ。その愛され正義エイミーという意味での「アメイジングエイミー」という言葉の一方で観客がエイミーの本性や失踪までのある意味「完璧」な計画行動を知って行く感じ。

すっごい不気味でした。

 

ラストについて

自分を殺人鬼に仕立て上げ世間の非難を散々浴びさせた挙句、人を殺して堂々と帰ってきたエイミーをニックは追い出すことも自ら去ることも出来ないという結末。

それはエイミーが自分の子供を妊娠しているという責任だけではないはず。妹マーゴが泣きながらニックの気持ちを問うシーンは中々に強烈…。

狂気的ともいえるエイミーと離れることの出来ないニックの姿に坂口安吾の『桜の森の満開の下』や『夜長姫と耳男』のカップルを思い出してしまいました。恐ろしいと美しさ、殺したいという気持ちと愛おしいと思う気持ちは表裏一体なのかもしれない。そしてそれは決して受け入れるということではないんだと思う。

これだけ色んな事が展開されたストーリーだけど、二人にとってはこれからなのだと思いました。うーん、難しいよー。

 

 

色んな感想が出るだろうからそういう意味では確かにカップルで観ると結果的に喧嘩に繋がるなんて事もあるだろうけど、「男は~だから」「女って~だから」で語れるような内容じゃない気がする。

浮気も束縛も復讐も、どちらかに限った事では全くないし。

これを観て「女って怖えなぁww」って大声で言う人とは友達になれないと思ったのでした。

 

 

ゴーン・ガール (字幕版)